REPORT
私は、社会学や民族学、コミュニケーション学や英文学などを留学先で学びました。どの授業も私にとって、たくさんの新しい発見があり、考えを深めることができたと同時に各授業の内容について段々と繋がりを見つけていくことができ、「多角的視野を持つ」ということが自分の中で明確に体系化されていきました。中でもとても考えさせられた内容の一つは、約百年前にアメリカの社会学者デュ・ボイスによって定義付けられたdouble-consciousness(二重意識)という考えです。これは黒人の奴隷化がなされていた時に、黒人の人々が自分達の価値を白人の人々が自分達をどう見ているかで判断していたことを指す用語です。奴隷制度、という言葉を聞くと、権力の強い者による非人道的で残虐な行為がイメージとして湧きますが、ここではそういった行為に焦点を当てるのではなく、抑圧されていた側の黒人の人々に注目し、彼らがどう自身を認識していたかといった内側に重きを置いています。これは私の中で今までにない新しい視点でした。このdouble-consciousnessという、「他人の目を通して自分自身を見る」ことをSNSが普及した現代社会に当てはめて考えてみると、私自身を含め、誰もが一度は経験したことがあることなのではないかと思います。授業で学んだことをその場で終わらせず、様々なことに関連付けながら深めていくことを意識したことも、先程述べた、それぞれの授業の繋がりを見つけられた理由の一つでもあるかと思います。また、留学中は、大学の敷地内に住んでいたことで、思っていた以上に課題に割く時間、授業について考える時間、人と交流する時間が多くあり、大学のコミュニティが私生活のほぼ全てを占めていました。何にも邪魔されずに勉学に集中できるのは、あまり日本では経験できないことだと思うので、貴重な時間となりました。高校生のみなさん、留学も受験もなりたい自分を実現するために行動することはとってもかっこいいですし、自信に繋がるはずです。しかし、その過程では、自分の思い通りにいかないことや人と比べてしまうこともあると思います。そういう時は自分自身の持つ価値観を大切にしてください。途中で止まっても揺らいでもいいと思います。でも、最後には必ず前を向いて自分の歩幅で歩き始めてください。たくさんの良いことが待っていると思います。(2019年入学)
※内容は取材時点のものです。